ことばばかり

twitterであげた短歌をまとめたり、短歌について思うこと書いたり twitter→@kiri_shimako

さみしい

LINEの着信音がする

「ヒマー。さみしー。構って―」

拗ねてるクマのスタンプが可愛い。

拒絶のスタンプを押せば、泣いたクマが返ってくる。

「いじわる」

「どうしたの」

「一人だとさみしくてねー」

「かわいそうに」

「そう、私かわいそうなの」

泣いたクマ

今日はデートだって昨日のラインで言ってたね。

それなのに、一人でさみしいって私にいってくる。

きっと、奴には言っていない。

 

あんなやつ、あんなやつ

 

言ったって詮の無いことなのだけど。唇を噛み締めながら私はLINEの通話ボタンをタップする

 

「寂しい」が口癖なのにうずくまり笑うだけだね奴のことだと

最近詠んだ短歌まとめ

短歌創りたい時期と気乗りしない時期が交互にやってきて、詠むの楽しい期に突入。

じゃんじゃかつくるよ

 

あと何度読み返したらこの文字は滲んで溶けて嘘になるだろう

 

ヤニ臭いカウンターの片隅で僕はニーチェとキスを覚えた

 

太陽が眩しいからと言って君は答え代わりに明後日をみる

 

ペテン師の口から鳩が飛び出して誠しかないあなたは呻く

 

口癖の「あたしって」から紡がれるあなたと似ない誰かの話

わたしとあなた

お揃いの服をきていた。

学校で決められたブラウス・ネクタイ・スカート・鞄・靴下・靴

個人が入る要素なんてそこにはなかった。

「お揃いだね」

とあなたは無邪気に笑う。

同じ服を着ているだけだ。同じ服を着ているだけだ。

同じ服を着ているから、私とあなたが違うんだって私は知る。

泣かない。

羨ましいなんて、おもっちゃいけない。

 

灰色のペアルックから伸びた手はどう足掻いても同じになれない

星の名前はしらない

天体観測が趣味だといっていた。

一等星と六等星も見分けのつかぬ私に、君は楽しそうに天体の解説をする。

「ほら、あれだよ」

興奮気味に上ずった声とともにあげられた指は夜空のどこを指しているのか見当もつかない。

ただ、楽しそうだと思った。その声を聞いているとじんわりと幸せな気がした。

君の爪は短く切りそろえられていて、真面目なんだろうと勝手に思ってしまう。その短い爪のついた指の動きを私はいつまでも観測していたい

 

「ほらごらん、あれがシリウスプロキオン」天指すきみの爪は短い

短歌のないただの日記

2週間前に引っ越してきた。

2週間前、30分に一本しかないバスにのりどんどん山道へと向かう景色を眺めながらこの街についた。

ついた時には真っ暗で、おまけに履いていたパンプスは留め具が壊れて使い物にならなくなった。

大嫌いだと思った。

切れかけのスマートホンでルート検索しようにも目印も何もない街で。人に聞いては違うところを教えられたり、分からないって途方にくれながらなんとかたどり着いた。

お腹空いてて、でももう動く気力なくて、でも探索しなきゃとフラフラ歩いたら自転車屋さんがあって、中古の自転車を買った。

おじさんは街の地図も書いてくれて、ああ、これならこの街を好きになれると思った。

2週間。いろいろあって、今週末にはもうこの街ともお別れする。

大嫌いな街だと思ったし、相変わらず不便だなと思ってばかりだけど、住めば都で大分好きになった。

腰の高さまである雪と一緒に生活することなんて私の人生でもう無いだろうから。貴重な経験をいっぱいさせてもらえた。

あと1週間、頑張ろう。

ナポレオンは眠らない

ナポレオンは眠らない。一日3時間ですむらしい。

羨ましい。私は10時間ぐらい寝たい。

でも、世の中にはそうは言っていられないことがある。

不可能不可能って叫びながら、ナポレオンでも寝てしまいそうな眠気と戦いながらパソコンに文字を打つ今晩。

やる時間はあったのに、やらなかった私がわるい

 

不可能の三文字だけが駆け抜けたナポレオンすら寝静まる夜

死んだらダイヤになりたい

死んだら何も残らないって、まぁ、全く持ってその通りだと思っている。

死んだら何も残らない。とはいうけれど、体焼くから骨と灰は残ってしまう。

だから、骨と灰に私はちょっと執着をしてしまう。

どれぐらい執着しているかというと、大好きな祖母が亡くなった時、その遺骨を周囲の目を盗み一片掌に隠し、そのまま口に放り込んだ位執着している。

そんな私が、遺灰ダイヤに飛びつかないわけがない。

自分が死んだところで何も残らなくてもいいけれど、うつくしいひとが死んでダイヤになるって凄く夢にあふれていると思う。ダイヤの何がいいかというと、ダイヤになれば誰かがずっと肌身離さずつけてくれる可能性が高いっていうことがなおさら素晴らしことだと思う。

そんなわけで、好きなあの人に殺されてそのままダイヤになってしまいたいと願う女性がいれば、それはとても私好みなのですという、そういう話

 

わたしよりだいぶおおきなそのゆびでわたしを絞めてダイヤにかえて