ことばばかり

twitterであげた短歌をまとめたり、短歌について思うこと書いたり twitter→@kiri_shimako

綺麗は汚い

きれいはきたない、きたないはきれいってなんだっけ。

ああ、マクベス。そう、マクベス。シェークスピア。魔女が確かいうの。

マクベスの話なんてかけらも覚えてないけど、その言葉だけは覚えているわ。

でも、反対のものをイコールで結んじゃうとなんでもその通りに聞こえると思わない?

あかるいはくらい、くらいはあかるい

やさしいはこわい、こわいはやさしい

ね?そうでしょ??

だからね、このお砂糖だってきっとそうなのよ。

あまいはからい、からいはあまい

さとうはどく、どくはさとう

最後は少しちがったかな?

はい、コーヒーできた。飲み干して。

砂糖がおおい?そうかな???でも

さとうはさとうだからさ

 

コーヒーに溶けきらぬ砂糖溢れててどうしてこれは毒にならない

仮住まい

新幹線に4時間も乗ってしまえば、私が知らない、私のことも誰も知らない土地についてしまう。

 

流線の鉄に揺られてこんなにも遠いところに今立っている

 

そんなわけで見知らぬ土地で暫く仮住まいをすることになりました。

 

まだ誰の匂いも沁みぬこの部屋で段ボールを抱いて眠る

 

ダンボールの中にくるまれた以前の生活がほんのり恋しい。何もなくてバス停降りた瞬間に途方にくれたこの街だけど、たまたま立ち寄った自転車屋で中古の自転車てに入れた頃には好きになれる気がしてきた。

短い間の一人暮らしよろしく

 

愛着のつかない街で愛着のつかない自転車乗り回す今日

彼氏はいない。恋の歌

フォロワーさんが

「恋人よ」で始まる歌を作っていたから便乗して作った三首

 

恋人よ握りたくても近付けぬその手の主に呼び掛けたい日

無精髭剃らないままの恋人よ私あなたの母にはなれぬ

恋人よ眉間の皺を消すやうに珈琲に砂糖溶かしておくれ

 

そもそも恋人よで始まっていないのもあるし、どう考えても恋人関係である2人ではないものもある。

そんなもの。

短歌は嘘を歌ってもいいんだって思うことにしている。私は嘘つきだから、そっちの方がありがたい。

ホームズとワトソン

ホームズ派とルパン派でいうなら断然ホームズ派だ。

ホームズが好きでホームズVSルパン読んだら実力が拮抗しているどころかホームズがただのヘタレになっていて絶望してルパンは嫌いになった。

それから長い間読み返してはいないから、今読むとルパンのイメージも変わるかなと思わなくも……ない

 

そんなわけで物語の登場人物で短歌を詠もうと考えたときに一番詠みたくなるのはホームズとワトソン。この二人は固有名詞の様でいて最早代名詞の性質も持っているからとっても使いやすいなと思ったり。

                         

その世界みてみたいんだ一度でもホームズ君のその瞳(め)をおくれ

才能の側に絶えず付き続け嫉妬で滅びぬワトソン憎し

わたしだったもの

爪が伸びる。新陳代謝している証拠である。生きている証拠である。

生活上私は爪を伸ばせないので、伸びていることに気付いたら爪きりを手に取り、いらない新聞紙を床に敷き爪を切り始める。

パチ パチ パチ

 

小気味良いリズムとはとても言えないリズムでゆっくりと爪を切っていく。切った爪には垢だか埃だかよく分からないものが引っ付いており、ああ、私は不潔と共に生活をしているのだなと実感する。

 

パチ パチ パチ

 

爪を切るたびに、新聞紙の上、もしくは新聞紙の外に爪の破片が散らばる。

 

パチ パチ パチ

右手の小指まで切り終わると、新聞紙の上にはけっこうな爪の破片が集まる。中心に集め、小さな山が出来ることにも気を留めず、クシャクシャに丸めてそのままごみ箱へ。

1分前には確実に「私」であったものは今はごみ箱の中に放り込まれた名実ともに「ごみ」に他ならないものに変化してしまった。

それとも「私」だと思っていたものは本当は初めからごみの集合体でしかなかったのかもしれない。そんなことを考える深夜

 

伸びた爪新聞の上散らばりてかつての私はごみへと変わる

ジェンガ

人間関係ってさ、ジェンガににてると思うんだよね。ジェンガ。知ってる?子どもの頃よくやったんだよね。真ん中から抜いていくと割と安定してるんだけど、ちょっと挑戦って言ってワザと危ないところから抜いてみたり。

そうやって抜いたものをどんどん上に積み重ねていって、いつかそれも抜かれていって、また積み重ねられて、どんどん高くなって、下の方はどんどんすかすかになっていくの。

ん、とにかくさもうちょっと聞いてよ。

そうやってスカスカになっていくうちに、これを動かしたらもうこの塔は持たないな、崩れるなって気付く瞬間がくるのよ。それでも何かを動かさなきゃいけない。だから壊れるって分かってても、ジェンガから積み木を一つぬくの。

それがね、今だなって思ったの。

あなたが悪いんでも、私が悪いんでもない。

ただ、マグカップを落とした時、私は崩れる積み木を選んでしまったんだなって、そう思ったの。

マグカップが原因なんじゃなくてね、もうグラグラだった土台が原因なの。

うん、そういうこと。

謝らないよ、お礼も言わないけれど。

 

分かってたこれが最後の積み木なの崩れるジェンガごめんは言わない

寒い

ここはあまりにも寒いね一人では君の37度が欲しい

 

カフェラテでできたお口の白髭を笑うあなたがいる冬が好き

 

街は白。震えるだけのこんな日は冷ぞう庫に二人でこもろう

 

冬だからか寒い寒い言っている気がする。そんな三つ。

寒いというのは熱源を持った人が誰か隣にいてくれてこそ意味を持つのでないかなと思います。

そんなわけで全部相手がいる歌だなぁと。

一番最後はあまりにも寒い日に「絶対冷蔵庫の方があったかい」と恨み言を道中ずっと言い続けてた時に作った記憶ありますw