短歌まとめ
嘘つきなMと指切りオレンジの爪と遺された疵
氷砂糖状の秘密を含んでるあの子の唇アダムの林檎
おひさまは窓の形に切り取られ風は届かぬ近い隔たり
「終わりね」の前に言うことあるはずで2人の中にホームズは不在
ほんとはさとっくに知っているくせに、僕がPに飼いならされたいって
行き場など何処にも持てぬ二人だし無音の夜にダンスをしよう
夕焼けと金星昇る中間で踵潰れた靴は彷徨う
永遠にほんの少しは近付けたホルマリン漬け心臓の鼓動
少女たちは花と秘密を戯れに口に含んで大人になるの
口ごもり少しよってる眉間に学ぶ不味くないと美味しいの距離
キッチンに不規則なリズム響かして次は何だっけさしすせそそそ
嘘つきなあなたと嘘と知っていて信じる僕は共犯者です
後悔は合鍵ごと置いてって進むしかない裸足の夜道
原色のアルミ缶からあふれ出すジャンクな泡になる人魚姫
体温が行き交うだけの幸福に固有名詞をご記入ください